当日レポート(文責・松岡厚志)


ボク、3回とも来てるねん。

1回目がダンボやろ、ほんで、
2回目がビートルジュース。

今年は何やるんやろなぁ。
 

2005年8月20日の土曜日。場所は西宮浜「海辺の道公園」。


10年は続けたい、
西宮のメモリアル・イベント。

を目指し、3年目を迎えた
シネギミックの西宮浜野外上映会。

「1日だけの映画館 in 西宮浜 vol.03」

西宮に映画館をつくろう、
を合言葉にする僕たちの未来の映画館が、
1日だけやってくる、
というコンセプトだ。

ちなみに上映作品は、
「名前くらいは聞いたことがあるけれど、
 そういえば観たことのない映画」
を軸に、
「意外に面白い」という発見を
お客さんに提供するのが目的。

何より夏の思い出の
1ページを刻んでもらえればと。


さあ、まずは腹ごしらえをして、
今日という日を楽しみますか。

当初はリーダー業に戸惑いを 見せていた
プロジェクト・リーダーのまっきーも、
今やみんなを引っ張る立派なリーダー。
事前ミーティングの指示も的確。

「いくぞっ、シネギミック!」

「おーっ!」

特設スクリーンを立てることから、準備は始まる。


ヨットハーバーを背にした、
絶好のロケーション。
ここにスクリーンが設置されるのは、
年に一度の夏のこと。

もちろん、公園使用許可も、
自治会の同意も得ています。

レンタルしてきた鉄製の足場を
手順通りに組み立てる。
3年目ともなると手馴れたものだが、
夏の上映会を初めて経験する
新メンバーも多数。

抜かりなく、慎重に組み立てていく。

時間は、まだまだお昼過ぎ。
開場予定の18時までは十分な余裕があり、
わりとゆったりペースで作業は続く。

時おり、笑い合いながら。

しかしハプニングというか、
小さな準備不足も露呈する。
杭を打ち込む木槌がなかったり、
必要な金具が揃ってなかったり。

車部隊が不足のものを買い出しに行き、
できる範囲でスクリーンの設置を進める。


それにしても、清々しい青空。

「ぼく、雨男だから……」

と弱気なまっきーは晴天を祈り、
てるてる坊主を事前に作っていた。
 


「てるひこ☆」


大丈夫、神さまは
頑張る者を裏切らない。

雨なんて、
シネギミックには一生無縁だ(強気)。

力仕事のボーイズと、装飾に励むガールズ。


普段はインドアのシネギミ・ボーイズも、
いざという時はやはり男。
力仕事は、お任せあれ。

一方のシネギミ・ガールズは、
持ち前のセンスを活かして
会場デコレーション。

今回上映する作品が
『マイ・ドッグ・スキップ』という
少年と犬の物語であることにちなみ、
ドッグな雰囲気を醸しだす。

犬小屋に入る「ポン太」が
何とも愛くるしい。

スタンダードな風船のほか、
ねじって遊べる風船で
これまた犬を模す。
受付に飾られることになる
この「風船犬」は、
子供たちの人気を大いに集めた。


スクリーンの設置と
会場デコレーション以外にも、
受付の設置や
ドリンク販売スポットの整備など、
何かと大忙し。

ドリンクは
ハイネケンさん協賛のビール、
UCCさん協賛のコーヒーほか、
お客さんの喉を潤す
ソフトドリンクが多数。

しかも冷やしておきたいがため、
クーラーボックスの使用などを検討した結果、
どぶづけに氷を入れることに。

なんと、まっきーが西宮冷蔵さんに掛け合い、
「氷の協賛」をゲットしていたのだ。

冷蔵庫の稼動も再開し、
元気に頑張る西宮冷蔵さん。
同じ西宮浜を拠点とする者として、
今後ともよろしくお願いいたします。


さあ、会場の準備も整ってきた。

大ハプニング! 想定外の強風が僕たちを襲う。


「このままじゃ、絶対にヤバイです!」

そのうち止むだろうと高をくくっていた風は、
むしろ強まっているように見えた。

ラピュタが潜んでいそうな
もくもくの雲に夕立の心配をするも、
風は完全にノーマーク。
未確認情報ながら、
この日は「強風注意報」も出ていたそうな。

このままではスクリーンが
モロに風を受けてしまって、
継ぎ目がちぎれてしまうか、
足場ごと倒れてしまう。
「ヨットの帆みたい」などと
悠長なことも言っていられない。

時間はすでに、開場1時間前。

「よし、移動させよう!」

それは、英断だった。
ヨットハーバーを背にするロケーションを捨て、
足場ごと、180度回転させることに。
しかも立ち並ぶ家のおかげで
風の影響を受けない場所まで移動。

ゆうに400kgは超えるであろう鉄製の足場を
解体することなく、男全員で持ち運ぶ。

「せーので持ち上げよう、せーので!」
「待って待って、傾いてる傾いてる」
「倒れる倒れる、危ない危ない!」
「一旦置こう、せーので置こう!」
「あかんあかん、指が飛ぶぞっ!」
「あああああああああああっ!!」

……良い子のみんなは真似しちゃダメよ。

しかし予期せぬハプニングは、
みんなの心をひとつにした。
これぞ「イベント」だと
今ではもう、笑い話。

こうしてゲルマン民族並みの大移動は、
ひとりの怪我人を出すことなく完了。

スクリーンはすでに、
映画が映し出されるのを待っている。
 

WE ARE CINE GIMMICK!

開場するや、子供から大人まで集まり始める海辺の道公園。


そして時間は、開場する18時。

お客さんがパラパラと集まり始める。

スクリーンが設置されるのを見て
「何かやるんですか?」
と聞いてこられた犬の散歩をする人たちも、
この時間に合わせてご来場。

受付では
特製の「当日パンフレット」と
アンケート、入会案内書を手渡しし、
イベントっぽさに拍車がかかる。

いつの間にかメンバーも、
「シネギミTシャツ」に着替えている。


一方、映写・音響機材担当班は、
スクリーンの大移動を受け、
セッティングをやり直し。

なぜかモノクロでしか映らない、
といったハプニングも乗り越え、
準備を着々と進める。
機材班の頼もしさはピカイチだ。

ちなみにスピーカーは初の4台。
近隣住民に迷惑をかけない音量で、
なおかつお客さんには聞こえやすく。
それを実現するには、
スピーカーの数を増やして
客席にの近くに置けば良い。

セイコーエプソン株式会社さんが
今回もお貸しくださった
プロジェクターもセッティング。
スクリーンに映す前に
紙に投影していると、
子供たちが集まってくる。

「ほら、こうやって映るんよ」

ちょっとした、交流のひとコマ。


レジャーシートに座る人。
座布団に座る人。
キャンプ用のイスを持参してきた人。
思い思いに芝生に腰掛けて、
上映開始を待ちわびるお客さん。

受付の虫除けスプレーで、
虫刺され対策もバッチリ。

上映開始は、もう間もなく。

 

始まりは日没と共に。自然が織り成す天然シアター。


「間もなく上映開始です。
 受付付近では、
 ビールにソフトドリンク、
 光るブレスレットを売っています。
 よろしければお買い求め下さい」

アナウンスが響き渡る頃、
辺りはすっかり暗がりに突入していた。

日の入り後がスタート、
という演出がなせるのも、
野外ならではの醍醐味だ。
この分だと夕立もなさそう。
スクリーンへの風の影響もほとんどない。

スクリーンの向こう側に見える
無数のマンション群は
ぽつりぽつりと明かりを点け始め、
公園の街頭も輝き出した。

ついにシネギミックの3年目が始まる。

緊張感と、喜びと。
時計の針は19時を超えた。


流れるは、シネギミ・オリジナルの短編映像
「ローゴムービー2005」。

そしてまっきーの声が、
会場に一体感をもたらす。

「みなさんこんばんわ、
 シネギミックです!」

「今日は『マイ・ドッグ・スキップ』
 という映画を上映します。
 観たことある人は、
 どのくらいいらっしゃいますか?」

なかなか上映作品が決まらない中で、
リーダー自ら大プッシュした作品。
去年の来場数を越える
300人強のお客さんを目の前に、
映画を届ける喜びを
実感していることだろう。
その思いは、メンバーもみな同じ。

「それでは上映を始めます!」

夜空の下で映画『マイ・ドッグ・スキップ』を。

夏の浜辺で涙を流す。野外は人の心を裸にするようで。


満月だった。

月明かりに照らされて、
なおかつ公園の街頭も
マンションの明かりも眩しい。

しかしそれ以上に輝いていたのは、
『マイ・ドッグ・スキップ』
を映し出していたスクリーンだった。

少年ウィリーと、
犬のスキップが心を通わせる。

そしてシネギミックとお客さんも、
この映画を機に、ひとつになっている。

物語は終盤に差し掛かり、
感動の波が押し寄せる。

「スキップ〜! ううう……」

子供たちは人目をよそに泣いていた。
大人たちも、ほろりとしていた。

夏の野外で、大勢と共に、涙を流す。
声を出して、泣く。

そんな体験ができるのは、
シネギミックの上映会だけ。


また来年も会いましょう。
もちろんここ、西宮浜で。

SEE YOU NEXT SUMMER!